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日本人は海外へのメディカルツーリズムに関心を持つか

メディカルツーリズム (国境を越えて医療を受ける人たちのための旅行) は、きわめて健全な産業である。Patients Beyond Bordersは、マーケットは240億ドルから400億ドルに相当すると考えている。これは世界中で約800万人の患者が国境を越え、1旅行あたり平均3,000ドルから5,000ドルを費やしていることに基づくものである。ドイツBad HonnefにあるInternational University of Applied Sciencesの観光産業経営の専門家Helmut Wachowiak教授によれば、マーケットはすでに400億ドルから600億ドルに相当しており、年20パーセントの成長をしているということである。

世界的戦略調査会社Ipsos Public Affairsが2012年に24か国の18,731人の成人に実施した世論調査では、いずれの国でも少なくとも3分の1はメディカルツーリズムを受け入れてもいいと考えており、18パーセントは真剣に検討しようとしていることがわかった。Ipsosの上級副社長Nicolas Boyonは、2012年に広く報道されたインタビューにおいて次のように語った。「メディカルツーリズムの考え方は多くの国で広く受け入れられている。ただし、日本だけは例外である。」

では、なぜ日本だけは別なのだろうか。標準的な反応は次のようなものだろう。すなわち、この国は先進国中で最低に近い1人あたりの医療費を誇っており (医療費の個人負担率は30パーセント)、住民は世界で最も健康と考えられている、というものである。肥満や暴力が少ないなどの生活様式の要素が大きく貢献しているが、国際的レベルの医療が広く利用可能 (185,000の病院、医院、歯科) であることも同様に意味を持っている。また、国民皆保険制度が医療、歯科治療、投薬について全国民をカバーしている。

世界保健機構がこの国についていくつかの人口動態統計を提示している。それによれば、日本での平均余命は83歳、乳児死亡率は1,000生児出生あたり3人、医療費はGDPの8パーセント、個人の医療費支出は18パーセントである。また、住民10,000人あたりの医師は21人である。

このことから、日本人が海外へのメディカルツーリズムに加わろうとする理由はないと考える向きはあるかもしれない。しかし、特に患者が受ける治療が何らかの選択的医療を含む場合に、これとは別の状況を示唆する2つの重要な要素がある。第一に、日本国内で実施した場合にきわめて高額になりがちな選択的医療があることである。第二に、新しい医療技術の使用には保険が適用されないことがあることである。

たとえば、日本では歯科インプラントは4,000ドルから5,000ドルかかる。マレーシアでは同じ医療は1,500ドルから3,000ドルほどである。休暇をとって静養し、それでも、医療を受けに行く人ははるかに得をすることになる。

日本で治療することを選んだとして、患者がはるかに多くの額を支払う結果になることもしばしばである。国民健康保険で患者の選択が制限されているからである。次のような例がある。関節鏡視下の背部手術 を必要とする50歳の患者が、国民健康保険では切開による背部手術にしか保険が適用されないことを知った。彼は結局500km離れた名古屋の専門家のところまで行き、関節鏡視下の医療に150万円以上を支払った。そのおかげで回復期間は数カ月から数日に短縮し、肉体的苦痛はずっと軽減できたが、金銭上の負担は大きいものとなった。

背景HealthyIMのCEOで創立者のMichael Bobroveによると、メディカルツーリズムにはもっと多くの話題がある。日本、マレーシア、韓国、タイ、シンガポールの200,000の医療機関を対象として病院、医院を調査し、評価する革新的なポータルであるHealthyIMは、住民や医療旅行者が診断、治療のための適切な場所を見つける手助けをすることを目的に作られた。Bobroveは、アジアの医療機器業、製薬業の幹部として20年の経験を持ち、日本メドラッドの社長でもあった。彼は定期的にメディカルツーリズムのプレゼンテーションを世界中で行っている。

「我々は、メディカルツーリズムへの興味を評価するために、HealthyIMに登録している200人の日本人ユーザーに送った2013年7月のオンライン調査の中の選択肢について10の質問を提示しました。」 とBobroveは語る。「我々が発見したことは興味深く、かつ我々を力づけるものでした。54人の回答者のうちメディカルツーリズムを試した人はひとりもいませんでした。「日本の国外で日本と同等またはよりよい医療をより安く受けることができることを知っていましたか。」 の質問に圧倒的多数の74パーセントが知らなかったと答えたことでそのひとつの大きな理由が明らかになりました。」

メディカルツーリズムを試してみたいと思うかを尋ねたときには70パーセントは試してみたいと答え、歯科インプラントやホワイトニング、健康診断、エステティック/温泉治療、リラクゼーション治療などへの興味を挙げたのだった。より重要なのは、90パーセントがメディカルツーリズムについてもっとよく聞きたいと望んでいたことだった。

正しい訴求方法日本人は商品にもサービスにも目の利く消費者であると評判である。健康に関することとなるとさらに注意深くなる傾向がある。たとえば、日本語を話すことができるところを好む。安全で安価だからである。他の日本人の患者の好意的な評価が高く評価される。また、すべてが含まれるメディカルツーリズムパッケージを好む。

金持ちだがつかまえにくい日本の消費者をひきつけようとする病院、医院、その他の医療機関は、いくつかの要素に留意しなければならないだろう。ひとつは、興味のある医療に焦点を当てることである。もうひとつは、安全、価格、日本人患者の経験、関連する医療およびリゾート施設についての信頼できる情報を準備することである。異国情緒豊かな場所を訪れる可能性もまた日本の消費者に訴求力がある。

認知度が低いことが第一の障害なので、三番目のステップは日本語の資料を準備することである。最後に、これらの医療機関は日本市場で自らを宣伝しなければならない。

「医療および健康事業の提供者は患者にひとつの根本的な質問を投げかけなければなりません。あなたが経験した医療施設またはサービスを友達や同僚にすすめますか、そしてそれはなぜですか、と。」HealthyIMのBobroveは次のように助言する。「「根本的な質問」による方法はほとんどの産業において標準的なものになっており、顧客満足の改善に議論の余地がない効果を持っています。満足した患者はあなたのもっとも大事な後援者なのです。」

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